[STEP1]ランニングを始める前にまずチェック!カラダの状態や生活習慣を確認しよう
「フルマラソンを完走したい」「これからランニングを始めたい」と思ったら、すぐにランニングウェアへ着替えて走り出したくなるかもしれません。新しいランニングシューズを買いに行くのも、ランニングを始める楽しみのひとつです。
ただ、その前に一度確認しておきたいのが、「今の自分のカラダがどのような状態なのか」ということです。
普段あまり運動をしていなければ、以前より体力や筋力が落ちていることがあります。学生時代にスポーツをしていた人でも、運動から離れている期間が長ければ、当時と同じようにカラダが動くとは限りません。また、年齢や生活習慣によって体力や回復力も少しずつ変化していきます。
ランナーのケガについて調べた研究※1では、ランニング1,000時間あたりのケガの発生率が、一般のランナーでは約7.7件だったのに対し、初心者では約17.8件と報告されています。単純にすべての初心者がケガをしやすいという意味ではありませんが、走り始めたばかりの時期ほど無理をしないことが大切だと分かります。
ランニングでは、着地するたびに地面からカラダへ力が加わります。走るスピードやフォームによって違いはありますが、着地したときに地面から受ける力は、体重の2~3倍程度になることもあります。※3ウォーキングよりもカラダへの負担が大きく、走り慣れていない段階では、その負担にカラダがまだ十分に慣れていないことがあります。
そこで最初のSTEPでは、走り始める前に自分のカラダや普段の生活について確認していきます。今の状態を知っておくことで、自分に合ったランニングの始め方を考えやすくなります。
ランニングを始める前のチェック項目
細かな体力測定をする必要はありません。まずは、次のような項目から現在の自分を振り返ってみましょう。
- 年齢と現在の体力
- これまでの運動履歴
- 持病の有無や血圧
- 体重と体格
- カラダの動かしやすさ
- 生活習慣
年齢と現在の体力をチェック
まず確認しておきたいのが、年齢と現在の体力です。年齢だけで「走れる」「走れない」が決まるわけではありませんが、体力や筋力、疲労からの回復のしやすさは年齢とともに変化していきます。
特に気をつけたいのは、「昔はこれくらい走れたから、今も走れるだろう」と考えてしまうことです。学生時代や若い頃にスポーツをしていた人ほど、当時の感覚で動こうとして現在の体力との差が大きくなることがあります。
上記のグラフは、ベルリンマラソンの完走者を対象に、ピーク時の走速度を100%として年齢による変化を示したものです。5歳刻みでは女性は30~34歳、男性は35~39歳で最も高く、その後は年齢とともに走速度が徐々に低下しています。
もちろん、実際の走力には運動経験やトレーニング量なども大きく関係します。年齢だけで判断するのではなく、「今の自分がどのくらい動けるのか」を基準にしてランニングを始めることが大切です。
これまでの運動履歴をチェック
これまでどのくらい運動をしてきたのかも、ランニングのスタート地点を決める材料になります。
現在も定期的にスポーツをしている人であれば、運動をしていない人よりも体力が残っている可能性があります。一方、学生時代にスポーツをしていたとしても、それから何年も運動をしていなければ、当時と同じ体力が残っているとは限りません。
特に注意したいのが、頭の中に残っている「昔の自分」の感覚です。以前できていたスピードや距離を基準にすると、現在のカラダには負担が大きすぎることがあります。
これまでの運動経験は大きなアドバンテージになりますが、ランニングを再開する時は現在の体力を基準にして、最初は無理なくこなせる距離や時間よりも少し控えめなトレーニングから始めてみましょう。
持病の有無や血圧をチェック
持病がある人や、健康診断などで血圧について指摘を受けている人は、ランニングを始める前に現在の状態を確認しておきましょう。
ランニングをすると、安静にしている時よりも心拍数や血圧が上がり、心臓や血管にかかる負担も大きくなります。治療中の病気がある場合や、運動をしてよいか判断に迷う場合には、医師に相談して運動の可否や適した運動強度を確認しておくと安心です。
また、膝や足首、腰などにすでに痛みがある場合も注意が必要です。走ることで症状が強くなる可能性があるため、痛みが続いている場合には、無理に走り始めずに状態を確認し、必要に応じて医師や専門家に相談したうえで、ウォーキングなど負担の少ない運動から始めると安心です。
走り始めたあとも、「少しくらいなら大丈夫」と痛みを我慢して続ける必要はありません。普段とは違う痛みや違和感を感じたら、その日は運動を中止してカラダを休ませることもランニングを続けるためには大切です。
体重と体格をチェック
体重や体格も、ランニングを始める時に確認しておきたい項目のひとつです。体重が大きくなるほど、着地時に脚へかかる負担も大きくなるため、現在の体重を把握しておくことは運動量を考える目安になります。また、現在の体格を簡単に確認する方法のひとつとして「BMI(Body Mass Index)」があります。
BMIは「体重kg ÷(身長m × 身長m)」で計算します。日本では、18.5未満が「低体重」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」に分類されます。※4
例えば、身長170cm、体重65kgの場合は「65 ÷(1.70 × 1.70)≒22.5」となります。
ただし、BMIだけを見て「走ってよい」「走ってはいけない」と判断することはできません。筋肉量やこれまでの運動経験などによってもカラダの状態は異なるからです。
BMIが高めで運動習慣がほとんどない場合は、最初から長い距離を走ろうとせず、ウォーキングや短時間のジョギングを組み合わせながら始める方法があります。カラダが運動に慣れてきたら、少しずつ走る時間を増やしていきましょう。
カラダの動かしやすさをチェック
次に確認したいのが、カラダを無理なく動かせるかどうかです。
例えば、足首や股関節が動かしにくい、左右で動きに差がある、しゃがんだ時に痛みがあるといった状態があれば、走る時にも動きにくさを感じることがあります。
カラダが硬いからといって、それだけでランニング中のケガが決まるわけではありません。ただし、普段の生活でも動かしにくさを感じている部分や、痛みのある部分については、走り始める前に把握しておくとよいでしょう。
ランニングを始めたあとには、準備運動やストレッチなども取り入れながら、少しずつカラダを動かす習慣をつくっていきます。
生活習慣をチェック
最後に確認したいのが、普段の生活です。
ランニングというと、走る時間や距離ばかりに目が向きやすいですが、走ったあとのカラダを回復させる時間をしっかりとることも大切です。
特に睡眠は、疲れたカラダを休ませるために大切です。睡眠が足りていない日や、仕事などで疲れが残っている日は、いつもよりトレーニングを軽めにしたり、休んだりするのもひとつの方法です。
食事の時間や睡眠、普段の疲れ具合なども、ランニングを始める前に少し気にしてみるとよいでしょう。
STEP1のまとめ
ランニングを始める前に、まず知っておきたいのが現在の自分の状態です。年齢や体力、これまでの運動経験、持病や血圧、体重や体格、カラダの動かしやすさ、普段の生活などを確認しておくと、今の自分に合った始め方を考えやすくなります。
最初から距離やスピードを求める必要はありません。今の体力や生活に合わせて、無理のないところから少しずつ始めていくことが大切です。
まずは自分のカラダと生活の状態を知ること。ここをスタート地点にして、この先のステップでランニングを始めるための準備を進めていきましょう。
- 1. Videbæk S, Bueno AM, Nielsen RO, Rasmussen S. Incidence of Running-Related Injuries Per 1000 h of running in Different Types of Runners: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2015 Jul;45(7):1017-26. doi: 10.1007/s40279-015-0333-8. PMID: 25951917; PMCID: PMC4473093. : 参照 2026-01-17
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4473093/ - 2. Nikolaidis, P.T.; Alvero-Cruz, J.R.; Villiger, E.; Rosemann, T.; Knechtle, B. The Age-Related Performance Decline in Marathon Running: The Paradigm of the Berlin Marathon. Int. J. Environ. Res. Public Health 2019, 16, 2022. : 参照 2026-01-17
https://www.mdpi.com/1660-4601/16/11/2022 - 3. Jastifer JR. Contemporary Review: The Foot and Ankle in Long-Distance Running. Foot Ankle Orthop. 2022;7(3):24730114221125455. doi: 10.1177/24730114221125455. PMID: 36185350; PMCID: PMC9520164. : 参照 2026-10-04
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9520164/ - 4. 日本肥満学会「肥満と肥満症について」 : 参照 2026-10-04
https://www.jasso.or.jp/contents/wod/index.html
