新型コロナウイルスが拡大する中で、安全にランニングを行う方法

体調の悪い人のイメージ

[2020年4月19日 更新]

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的感染の拡大を受け、日本国内でもマラソン大会やイベントの多くが開催中止になるだけでなく、不要不急の外出を控えるよう自粛が求められる事態になってきています。

2020年4月7日(火)の緊急事態宣言を発令した記者会見において、安倍首相は『今まで通り外に出て散歩をしたり、ジョギングをすることは、なんら問題ありません。』と言及しています。しかしながら、コロナウイルスの全容は未だ把握されず、潜伏期間も2週間程度あるとされているため、不用意にランニングに出かけることは避けたいところです。

アメリカでメジャーなランニング雑誌のサイト「RUNNER'S WORLD」には、ランニングに出かける時に、どのんなことに注意を払ったら良いかについて、書かれた記事があります。アメリカと日本の感染状況こそ違いはありますが、気を付けることは共通しているため、日本の状況と照らし合わせて紹介します。

【参考記事】

How to Run Safely Amid Coronavirus Concerns|RUNNER'S WORLD
https://www.runnersworld.com/news/a31439358/running-during-coronavirus/

What Runners Need to Know About Coronavirus|RUNNER'S WORLD
https://www.runnersworld.com/news/a30642790/what-is-coronavirus/

この記事には、次の人物・組織が登場します。

  • デヴィッド・ニーマン氏:アパラチア州立大学 ヘルスプロフェッサー、ノースカロライナ・リサーチ・キャンパス ヒューマンパフォーマンスラボ ディレクター
  • ブライアンラブス氏:ネバダ大学ラスベガス校 公衆衛生学部助教授
  • CDC:アメリカ疾病予防管理センター

ランニングをする時に気を付けること

ランナー イメージ

2020年4月7日(火)に、緊急事態宣言が発令され、対象地域にあたる "東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡" の7都府県は、これまで以上に不要不急の外出の自粛が呼びかけられました。ジョギングに関しては問題ないと言及されているため、健康維持を目的としたランニングは自粛の対象には当たりませんが、実際に行うかは個人の判断によるところになります。

では、ランニングに出かける時には、どのようなことに気を付けたら良いでしょうか。

外で走っても大丈夫か?

一人で外で走ることは大丈夫です。ニーマン氏によれば「一人で走っているなら大丈夫です。ソロランに出かけて、混雑していない屋外の場所で楽しむこと」としています。また「トレイルであっても、混雑していないタイミングを見計らって出かけること」を推奨しています。

一人で走る場合でも、もし体調が少しでも悪いと感じた場合は、周りにうつすリスクを減らすために、ランニングは控えましょう。

他人と安全な距離はどれくらい?

アメリカのカリフォルニア州では、人と人との安全な距離を6フィート(約1.83メートル)とし、2020年3月8日に開催された「ロサンゼルスマラソン」でも、ランナー同士で最低6フィートの距離を取ることを条件に開催されました。しかし、この6フィートというのは、互いに近くに立っている人を基準にしているため、ランニングのような速い動きを伴う場合は、距離が増減する可能性があるとしています。6フィートの目安としては、成人男性の片腕の長さの平均は約73cmと言われるため、隣の人同士で指が触れ合わないように腕を広げた状態よりも、広い間隔になります。

ランニングによる呼吸の荒さは、人との安全な範囲を広げる要素になります。下記の項目に記述していますが、ランナーの後ろを走る時は、通常時より距離に気を付ける必要性があるとする研究報告も出てきています。

なお、日本では『濃厚接触』の距離(ソーシャル ディスタンス)については、厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」で、“手を伸ばしたら届く距離(目安として2メートル)で一定時間以上接触” と定義しています。

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|問16 濃厚接触とはどのようなことでしょうか?|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q16

他のランナーや歩行者とすれ違う時の注意点は?
[4月19日追加]

ランニング中は呼吸が荒く、ソーシャル ディスタンスが広がる可能性があるため、他のランナーや歩行者をすれ違う時は、注意を払う必要があります。ウイルスの拡散が増加傾向にある中、人々が周囲の人の活動に敏感になっているため、周りへの配慮も必要になってきています。

他人とすれ違う時などは、スピードを落とし十分に距離を開けて、くしゃみや咳をしないようにする必要があります。マスクの装着やネックゲイターで鼻と口を覆ってのランニングに抵抗がなければ、有効な対策になります。すれ違いの時だけでも、呼吸を落ち着かせてマスクを装着しても良いでしょう。

今は、人との遭遇を減らすことが、走りやすさにも繋がる状況になってきています。緊急事態宣言の中のため遠出は避けて、自宅の周辺などでランニングをする時でも、走る時間帯やエリアを工夫していきたいところです。

ランニング時のマスクの代用としても使える、マルチな機能でデザイン性が豊かなアイテム「ネックゲイター」
https://hashirou.com/article/page/recomend-item-neck-gaiter

ランナーの真後ろについて走っても平気か?
[4月9日追加]

公園や川の土手などランナーが多い場所を走る場合、前のランナの真後ろを走り、スリップストリーム(後方に発生する気流)の中に入る時があります。この状況は、気を付けなければなりません。人と人が立っている場合の、安全な距離は2メートル(日本の場合)ですが、その距離とは異なってきます。

ベルギーとドイツの共同研究では、人が出す飛沫の動きをアニメーションとして可視化させ、シュミレーションテストを行いました。

時速4kmのシュミレーション4km/hで歩いた場合のシュミレーション

時速14.4kmのシュミレーション14.4km/hで走った場合のシュミレーション
COVID-19 Social Distancing v2.0: During Walking, Running and Cycling: White Paper

このテストでは『くしゃみや咳では、飛沫を空中にまき散らすが、呼吸するだけの場合でも粒子を残す』としています。上記の画像で赤で示された大きな粒子は早く落ちますが、『ランニングで粒子の残る中を通った場合、粒子は衣服に付くことがある』と説明します。

そのため、ランニングで同じ方向に進むランナーの真後ろを走る場合は、距離を10メートル開ける必要があるとしています。ランナーが真後ろではなく、斜めにずれていれば受ける影響は少なくなっていきます。このことはランナー同士だけでなく、歩行者の前に割り込むような動作を行う場合にも気を付ける必要があることです。

Belgian-Dutch Study: Why in times of COVID-19 you can not walk/run/bike close to each other.|medium.com
https://medium.com/@jurgenthoelen/belgian-dutch-study-why-in-times-of-covid-19-you-can-not-walk-run-bike-close-to-each-other-a5df19c77d08

URBAN PHYSICS, WIND ENGINEERING & SPORTS AERODYNAMIC
http://www.urbanphysics.net/Social%20Distancing%20v20_White_Paper.pdf

グループランは避けるべきか?

ランニングは屋外のためグループであっても、日本で指摘されている『避けるべき3つの密』の「換気の悪い密閉空間・人が密集する場所・密接した近距離」に当てはまりませんが、人々が集まるときはいつでも、感染が広がる可能性があります。

例えば、マラソン大会が中止になった場合、同じコースを走りたいと、開催地にランナーが集うことがありありますが、一緒に走るかは個人の判断になります。グループでのランニングは推奨されませんが、仮にグループで走ることに参加するのであれば、他のランナーとの距離や接触に気をはらい、接触があれば手で顔に触れないようにし、まめに手洗いをすることなどの対策を心がけ、感染のリスクを減らすようにしましょう。

汗から感染するか?

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、ウイルスの伝染は、汗ではなく、咳やくしゃみなどで生成される、呼吸飛沫を介して起こるとしています。しかし、ウイルス自体に未知の部分があるため、汗をかいた他人への接触や、同じタオルを使うなどを介した汗への接触は、避けるのが無難でしょう。

信号のボタンは、押しても平気か?

「CDCの最新のデータでは、太陽光がコロナウイルスにとって住みにくい環境を作り出すため、屋外環境で繁殖する可能性が低く、屋外にあるモノにはウイルスはほとんどいない」と、ニーマン氏は説明しています。

しかし、人が頻繁に触る信号の押しボタンはどうでしょうか?

先に押した人の手が、咳を受け止めたりでもしていたら、問題が起こる可能性があります。そのため、信号のボタンを触る時は、服の袖や肘、モノを使うなどの工夫をしましょう。もし、手で押してしまった場合は、手を洗うまで顔には触れないでください。ランニング後に飲料を買うために押す、自動販売機のボタンも同様です。

ランニングと免疫力の関係性

免疫力を高める

走ることは、ウイルスに対抗するカラダの免疫力に、良きも悪きも影響を及ぼします。

ラブス氏によれば「フルマラソンやハーフマラソン、追い込むようなトレーニングなどは、体内のグリコーゲンを消費し使い果たした後に、免疫系が通常に働かなくなります。そのため、ウイルスに感染した人にさらされた場合、カラダの防御力は低下します。さらに、マラソンやハードな運動により引き起こされる肉体的・精神的ストレスにより、病気にかかる可能性が、わずかに増える可能性がある」としています。

ニーマン氏は「問題を乗り越えるまで、今すぐ長く激しいランニングを避けください。無理しないで、フィットネス向上よりも、健康を心配ください。」と言及しています。

さらに、ラブス氏は「運動を完全に止める必要があるという意味ではありません。定期的に運動することは、免疫力を強くすることと密接な関係があります。ランニングを長期的に行うことで免疫システムに与える良い影響は、短期的な懸念をはるかに上回ります。」と付け加えています。

上記で両名が言及するように、新型コロナウイルスが健康に影響を与えるスキを作らないために、当面の間は免疫力が落ちる、負担の大きいトレーニングは避けましょう。しかし、免疫力へのポジティブな面と運動不足解消の役割もあるため、適度にランニングは続けていきたいところです。今後の状況次第では、ランニングするための外出が難しくなることもあり得るため、室内で出来る運動方法も考えておいた方が良さそうです。

ランニングを続けていくために

走っていくランナーと菜の花

今のところ、新型コロナウイルスの終息は見えず、安倍首相は3月28日(土)の会見で「長期戦を覚悟する必要がある。」と言及しています。今後しばらくの間、マラソン大会は自粛のため開催されず、屋外を走ることにも気を使わなければならない事態になっています。

そんな中でも、オンラインを使ったマラソン大会の企画が行われたり、新しいランニングの楽しみ方が提案されてきています。感染や健康状態に気を付ける必要はありますが、手洗いや消毒をマメに行い、十分な栄養と睡眠をとって免疫力を高めるなど、上手に工夫をしてランニングを楽しんでいきましょう。

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