新型コロナウイルスが感染拡大するコロナ禍で、安全にランニングを行う方法[7月7日 更新]

体調の悪い人のイメージ

[2020年7月7日 更新]

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的感染の拡大を受け、日本国内でもマラソン大会やイベントの多くが開催中止なるなど、ランニングを取り巻く環境にも大きな影響を与えています。

2020年4月7日 に発令され、不要不急の外出を控えるよう自粛が求められた緊急事態宣言が、5月25日に解除されて以降も、一定数の感染者は確認されている状況が続いています。屋外でのランニングに関しては制限なく行うことができますが、ウイルス感染に注意を払う必要があることは変わっていません。

アメリカでメジャーなランニング雑誌のサイト「RUNNER'S WORLD」には、ランニングに出かける時に、どのようなことに注意をはらうと良いかについて、書かれた記事があります。この記事を参考に、コロナ禍でのランニングについて考えていきます。

【参考記事】

How to Run Safely Amid Coronavirus Concerns|RUNNER'S WORLD
https://www.runnersworld.com/news/a31439358/running-during-coronavirus/

What Runners Need to Know About Coronavirus|RUNNER'S WORLD
https://www.runnersworld.com/news/a30642790/what-is-coronavirus/

この記事には、次の人物・組織が登場します。

  • デヴィッド・ニーマン氏:アパラチア州立大学 ヘルスプロフェッサー、ノースカロライナ・リサーチ・キャンパス ヒューマンパフォーマンスラボ ディレクター
  • ブライアン・ラブス氏:ネバダ大学ラスベガス校 公衆衛生学部助教授
  • CDC:アメリカ疾病予防管理センター
【目次】

ランニングをする時に気を付けること

ランナー イメージ

2020年5月25日に緊急事態宣言が発令解除され、コロナウイルスへの対策が次のステップに以降したことをうけ、ランニングやジョギングを取り巻く状況も変化を見せています。しかし、依然としてソーシャルディスタンスなど、個人で行う感染対策が必要とされています。

では、ランニングに出かける時には、どのようなことに気を付けたら良いでしょうか。

外で走っても大丈夫か?

1人で外で走ることは大丈夫です。ランナーズワールド誌のニーマン氏によれば「1人で走っているなら大丈夫です。1人でランに出かけて、混雑していない場所で楽しむこと」を良しとしています。また「トレイルであっても、混雑していないタイミングを見計らって出かけること」を推奨しています。

そのため、コロナ禍でのランニングは、人が少ないコースや時間帯を選んで走り、他者と遭遇する機会を減らすことが、走りやすさに繋がるポイントになります。

なお、1人で走る場合でも、もし体調が少しでも悪いと感じた場合は、ランニングは控えたほうが良いでしょう。

他人と安全な距離はどれくらい?

アメリカのカリフォルニア州では、人と人との安全な距離を6フィート(約1.83メートル)とし、2020年3月8日に開催された「ロサンゼルスマラソン」でも、ランナー同士で最低6フィートの距離を取ることを条件に開催されました。しかし、この6フィートというのは、互いに近くに立っている人を基準にしているため、ランニングのような速い動きを伴う場合は、距離が増減する可能性があるとしています。6フィートの目安としては、成人男性の片腕の長さの平均は約73cmと言われるため、隣の人同士で指が触れ合わないように腕を広げた状態よりも、広い間隔になります。

ランニングによる呼吸の荒さは、人との安全な範囲を広げる要素になります。下記の項目に記述していますが、ランナーの後ろを走る時は、通常時より距離に気を付ける必要性があるとする報告もあります。

なお、日本では『身体的距離の確保』の距離(ソーシャル ディスタンス)については、厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」で、『人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける』 としています。

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

ランニング中はマスクを付ける必要はあるか?

周りに人がいない場合で、1人で走っているのであればマスクをする必要はありません。

ランニング中にマスクをする理由は、呼吸の際に自分が吐いた飛沫の拡散を妨げ、他者に触れさせないことが目的です。そのため、周りに人がいなければ、マスクをする意味がなくなります。また、他者とのソーシャルディスタンスを基準にして適度な距離をとっていれば、マスクを外して走っていていても、リスクはほぼありません。

しかし、人が多いエリアや、ランナーが多いコースなどでは、1人で走るという状況を作ることが難しいかもしれません。また、思いがけず人との距離が近くなる機会に出くわすかもしれません。また、コロナ禍にあって、人々が周囲の人の活動に敏感になっているため、周りへの配慮も必要な場面に遭遇することもあり得ます。そうした事態に対応できるように、マスクや口元を隠せるバフなどのネックゲイターを、常に持っていると良いでしょう。

ランニング時のマスクの代用としても使える、マルチな機能でデザイン性が豊かなアイテム「ネックゲイター」
https://hashirou.com/article/page/recomend-item-neck-gaiter

マスクと熱中症

夏場のランニングには、暑さと脱水による熱中症がつきまといます。暑さに加え、マスクを使うことで呼吸での換気が不十分になり、熱中症のリスクが増えるということが言われています。

マスクを着用していない場合と比べ、心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度の上昇など、身体に負担がかかることがあります。
 したがって、高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高まるので、屋外で人と十分な距離(2m以上)が確保できる場合には、マスクをはずすようにしましょう。

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省

また、2020年7月1日(水)に、日本臨床スポーツ医学会・日本臨床運動療法学会が共同で『新型コロナウイルス感染拡大防止期間中における屋外での運動に際しての注意』という声明を発表しました。そこで、夏場のマスク着用について次のような記載があります。

マスク等の装着は呼吸を制限することから、健康上望ましいとされるやや息が上がる強度の運動の実施も困難とします。さらに気温と湿度が高い夏季には、マスク等は呼気からの気化熱および顔面の皮膚血管拡張による熱放散を妨げる要因にもなり、熱中症の危険性も高まります。

新型コロナウイルス感染拡大防止期間中における屋外での運動に際しての注意

上記の声明でも、『信号待ち等も含め2m以上のソーシャルディスタンスを保つようにしてください。』と、言及されています。

他のランナーや歩行者とすれ違う時の注意点は?

ランナーズワールドの記事では『ランニング中は呼吸が荒く、ソーシャル ディスタンスが広がる可能性がある』と、指摘しています。一方、日本臨床スポーツ医学会・日本臨床運動療法学会共同声明では『新型コロナウイルスはすれ違った程度では感染しないと言われています』とあります。

では、他人とすれ違う場合はどうしたら良いでしょうか?

この場合の対応として、十分に距離を開けて、すれ違うという考え方があります。もし、距離が取れない場合は、スピードを落とし呼吸を落ち着かせたり、用意してあるマスクやネックゲイターを装着すれば、有効な対策になります。もちろん、くしゃみや咳はしないようにします。

新型コロナウイルス感染拡大防止期間中における屋外での運動に際しての注意|日本臨床運動療法学会
http://www.kmuhsc.net/clext/pdf/kyoudouseimei20200701-1.pdf

信号のボタンは、押しても平気か?

『CDCの最新のデータでは、太陽光がコロナウイルスにとって住みにくい環境を作り出すため、屋外環境で繁殖する可能性が低く、屋外にあるモノにはウイルスはほとんどいない』と、ランナーズワールド誌でニーマン氏は説明しています。

では、人が頻繁に触る信号の押しボタンはどうでしょうか?

先にボタンを押した人の手が、咳を受け止めたりしていた場合、問題が起こる可能性があります。そのため、信号のボタンを触る時は、服の袖や肘、モノを使うなどの工夫をしましょう。もし、手で押してしまった場合は、手を洗うまで顔には触れないようにします。ランニング後に飲料を買う時に押す、自動販売機のボタンも同様です。

グループランは避けるべきか?

ランニングは屋外のためグループであっても、日本で指摘されている『避けるべき3つの密』の「換気の悪い密閉空間・人が密集する場所・密接した近距離」に当てはまりませんが、人々が集まるときはいつでも、感染が広がる可能性を秘めています。

そのため、グループランなど集まってランニングを行うのであれば、人数を少なく設定して、他のランナーとの距離や接触に気をつけます。同時に、手洗いや消毒をするなどの、感染リスクを減らす対策も行います。

汗から感染するか?

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によると、ウイルスの伝染は、汗ではなく、咳やくしゃみなどで生成される、呼吸飛沫を介して起こるとしています。しかし、ウイルス自体に未知の部分があるため、汗をかいた他者への接触や、同じタオルを使いまわすなどの行為は、避けるのが無難でしょう。

ランナーの真後ろについて走っても平気か?

公園や川の土手などランナーが多い場所を走る場合、前のランナの真後ろを走り、スリップストリーム(後方に発生する気流)の中に入る時があります。この状況は、気を付けなければなりません。ベルギーとドイツの共同研究では、人が出す飛沫の動きをアニメーションとして可視化させ、シュミレーションテストを行いました。

時速14.4kmのシュミレーション14.4km/hで走った場合のシュミレーション
COVID-19 Social Distancing v2.0: During Walking, Running and Cycling: White Paper

このテストでは『くしゃみや咳では、飛沫を空中にまき散らすが、呼吸するだけの場合でも粒子を残す』としています。上記の画像で赤で示された大きな粒子は早く落ちますが、『ランニングで粒子の残る中を通った場合、粒子は衣服に付くことがある』と説明します。

Belgian-Dutch Study: Why in times of COVID-19 you can not walk/run/bike close to each other.|medium.com
https://medium.com/@jurgenthoelen/belgian-dutch-study-why-in-times-of-covid-19-you-can-not-walk-run-bike-close-to-each-other-a5df19c77d08

URBAN PHYSICS, WIND ENGINEERING & SPORTS AERODYNAMIC
http://www.urbanphysics.net/Social%20Distancing%20v20_White_Paper.pdf

ランニングと免疫力の関係性

免疫力を高める

走ることは、ウイルスに対抗するカラダの免疫力に、良きも悪きも影響を及ぼします。

ランナーズワールド誌のラブス氏によれば『フルマラソンやハーフマラソン、追い込むようなトレーニングなどは、体内のグリコーゲンを消費し使い果たした後に、免疫系が通常に働かなくなります。そうしたカラダで、ウイルスに感染した人にさらされた場合、カラダの防御力は低下します。さらに、マラソンやハードな運動により引き起こされる肉体的・精神的ストレスにより、病気にかかる可能性が、わずかに増える可能性がある』としています。

ランナーズワールド誌でニーマン氏は『問題を乗り越えるまで、今すぐ長く激しいランニングを避けください。無理しないで、フィットネス向上よりも、健康を心配ください。』と言及しています。

さらに、ラブス氏は『運動を完全に止める必要があるという意味ではありません。定期的に運動することは、免疫力を強くすることと密接な関係があります。ランニングを長期的に行うことで免疫システムに与える良い影響は、短期的な懸念をはるかに上回ります。』と付け加えています。

上記で両名が言及するように、新型コロナウイルスが健康に影響を与えるスキを作らないために、免疫力が落ちるような、負担の大きいトレーニングは避けたほうが無難です。しかし、免疫力へのポジティブな面と運動不足解消の役割もあるため、適度にランニングは続けていきたいところです。今後の状況次第では、ランニングするための外出が難しくなることもあり得るため、室内で出来る運動方法も考えておいた方が良いでしょう。

ランニングを続けていくために

走っていくランナーと菜の花

今のところ、新型コロナウイルスの終息は見えず、安倍首相は 2020年3月28日の会見では「長期戦を覚悟する必要がある。」と言及しています。今後しばらくの間、マラソン大会の多くは開催ができず、外をを走る時にも気を使わなければならない状況が続きます。

そんな中でも、オンラインを使ったマラソン大会の企画が行われたり、新しいランニングの楽しみ方が提案されてきています。感染や健康状態に気を付ける必要はありますが、手洗いや消毒をマメに行い、十分な栄養と睡眠をとって免疫力を高めるなど、上手に工夫をしてランニングを楽しんでいきましょう。