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新型コロナウイルスが感染拡大するコロナ禍で、安全にランニングを行う方法[2021年9月16日 更新]

体調の悪い人のイメージ

[2021年8月3日 更新]

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的感染の拡大を受け、日本国内でもマラソン大会やイベントが開催中止になるなど、ランニングを取り巻く環境にも大きな影響を与えています。

2020年初頭から始まった新型コロナウイルス感染症は、拡大と縮小を繰り返しながら、長い期間続いています。従来のウイルスよりも感染力の強い変異株も発生し、デルタ株と呼ばれる型が日本国内で拡大をするなど、依然として私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。

ランニングについては、テレワークや巣ごもりによる体力の減退を抑えるため、積極的に行なうことが推奨されますが、感染症対策を適切に行なう必要があります。特に夏の暑い時期のランニングで、マスクやネックゲイターを着用している人は、熱中症や脱水症状について、より注意を払わねばなりません。

ランニング中の感染対策については、アメリカのメジャーなランニングサイト「RUNNER'S WORLD」で、詳しく書かれた記事があります。ここでは、それらの事を参考にして、コロナ禍においてのランニングについて考えていきます。なお、「RUNNER'S WORLD」の参考記事及び、記事内の登場人物に関してはページ下部の記載をご参照ください。

【目次】

ランニングをする時に気を付けること

ランナー イメージ

外で走っても大丈夫か?

1人で屋外を走ることは、感染対策としてとても効果的です。ランナーズワールド誌に登場する健康に精通したニーマン氏によれば『1人で走っているなら大丈夫です。1人でランに出かけて、混雑していない場所で楽しむこと』を推奨しています。また『レイルであっても、混雑していないタイミングを見計らって出かけること』として、他者と距離をとれる状況であることの重要性を強調しています。

コロナ禍でのランニングでは、人が少ないコースや時間帯に行なうことで、人と遭遇する機会を減らすことが、走りやすさに繋がるポイントになります。たとえ 1人で走る場合であっても、体温が高い場合や咳が出るなど、少しでも体調が悪いと感じた場合は、ランニングは控えるようにしましょう。

他人と安全な距離はどれくらい?

アメリカのカリフォルニア州では、人と人との安全な距離を 6フィート(約1.83メートル)とし、2020年3月8日に開催された「ロサンゼルスマラソン」でも、ランナー同士で最低 6フィートの距離を取ることを条件に開催されました。

しかし、この 6フィートというのは、互いに立っている状況を基準にしているため、ランニングのような速い動きを伴う場合は、距離が増減する可能性があるとされます。また、ランニングによる呼吸の荒さは、適切な距離を広げる要素にあたります。6フィートの目安としては、成人男性の片腕の長さの平均が約73cmのため、隣の人同士で指が触れ合わないように腕を広げた状態よりも、広い間隔になります。

日本では『身体的距離の確保』の距離(ソーシャル ディスタンス)については、厚生労働省の「新型コロナウイルスに関する Q&A(一般の方向け)」で、『人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける』 とされています。

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

ランニング中はマスクを付ける必要はあるか?

もし周囲に人がいない状態で、1人で走っているのであればマスクをする必要はありません。

ランニング中にマスクをする理由は、呼吸の際に自分が吐いた飛沫の拡散を妨げ、他者に触れさせないことが目的です。そのため、周りに人がいなければ、マスクをする意味がなくなります。また、他者とのソーシャルディスタンスを基準にして適切で十分な距離をとっていれば、マスクを外して走っていていても、リスクはほぼありません。

しかし、人が多いエリアや、ランナーが多いコースなどでは、1人で走るという状況を作ることが難しいかもしれません。狭い道や曲がり角、信号待ちなどで、思いがけず人との距離が近くなる機会に出くわすかもしれません。現在はコロナ禍にあることから、人々が周囲の人の活動に敏感になっているため、周りへの配慮が必要な場面に遭遇することもあり得ます。そうした事態に対応できるように、マスクや口元を隠せるバフなどのネックゲイターを装着できるように、常に準備しておくと良いでしょう。

また、ランニングの途中や終了した時に、休憩や補給の購入でコンビニなどの店舗に立ち寄る場合には、マスク着用は必須のため、あらかじめ用意しておきましょう。

ランニング時のマスクの代用としても使える、マルチな機能でデザイン性が豊かなアイテム「ネックゲイター」
https://hashirou.com/article/page/recomend-item-neck-gaiter

マスクと熱中症

夏場のランニングには、暑さによる熱中症と脱水症のリスクがあります。暑さに加えて、マスクを着用することで、呼吸による換気が十分にできず、さらに呼気の湿り気により熱中症の症状に気が付きにくくなります。

マスクを着用していない場合と比べ、心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度の上昇など、身体に負担がかかることがあります。
 したがって、高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高まるので、屋外で人と十分な距離(2m以上)が確保できる場合には、マスクをはずすようにしましょう。

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省

2020年7月1日(水)に、日本臨床スポーツ医学会・日本臨床運動療法学会が共同で『新型コロナウイルス感染拡大防止期間中における屋外での運動に際しての注意』という声明を発表しました。そこには、夏場のマスク着用について次のような記載があります。

マスク等の装着は呼吸を制限することから、健康上望ましいとされるやや息が上がる強度の運動の実施も困難とします。さらに気温と湿度が高い夏季には、マスク等は呼気からの気化熱および顔面の皮膚血管拡張による熱放散を妨げる要因にもなり、熱中症の危険性も高まります。

新型コロナウイルス感染拡大防止期間中における屋外での運動に際しての注意

他のランナーや歩行者とすれ違う時の注意点は?

ランナーズワールドの記事では『ランニング中は呼吸が荒く、ソーシャル ディスタンスが広がる可能性がある』と、指摘しています。一方、日本臨床スポーツ医学会・日本臨床運動療法学会共同声明では『新型コロナウイルスはすれ違った程度では感染しないと言われています』とあります。

では、他人とすれ違う場合はどうしたら良いでしょうか?

この場合の対応として、十分に距離を開けた状態ですれ違うという考え方があります。もし、距離が取れない場合は、スピードを落として呼吸を落ち着かせたり、用意してあるマスクやネックゲイターを装着することが、有効な対策になります。もちろん、すれ違い時に、くしゃみや咳はしないようにします。

新型コロナウイルス感染拡大防止期間中における屋外での運動に際しての注意|日本臨床運動療法学会
http://www.kmuhsc.net/clext/pdf/kyoudouseimei20200701-1.pdf

信号のボタンは、押しても平気か?

ランナーズワールド誌でニーマン氏は『CDC(アメリカ疾病予防管理センター)のデータでは、太陽光がコロナウイルスにとって住みにくい環境を作り出すため、屋外環境で繁殖する可能性が低く、屋外にあるモノにはウイルスはほとんどいない』と説明しています。

では、人が頻繁に触る信号の押しボタンはどうでしょうか?

先にボタンを押した人の手が、咳を受け止めたりしていた場合、問題が起こる可能性があります。そのため、信号のボタンを触る時は、服の袖や肘、モノを使うなどの工夫をして押しましょう。もし、指で押してしまった場合は、手を洗うまで顔には触れないようにします。ランニング後に飲料を買う時に押す、自動販売機のボタンも同様です。

グループランは避けるべきか?

ランニングは屋外で行なうため、グループランは『避けるべき3つの密』の「換気の悪い密閉空間・人が密集する場所・密接した近距離」に当てはまりませんが、人々が集まる場合はいつでも、感染が広がる可能性があります。

そのため、練習会などグループで集まってランニングを行なう場合は、極力人数を少なくして、他のランナーとの距離や接触に気をつけます。同時に、手洗いや消毒を頻繁にするなど、感染のリスクを減らす対策も実施します。

汗から感染するか?

“CDC(アメリカ疾病予防管理センター)”によると、ウイルスの伝染は、汗ではなく、咳やくしゃみなどで生成される、呼吸飛沫を介して起こるとしています。しかし、汗をかいた他者への接触や、同じタオルを使いまわすなどの行為は、避けるのが無難でしょう。

ランナーの真後ろについて走っても平気か?

公園や川の土手などランナーが多い場所を走る場合、前のランナの真後ろを走り、スリップストリーム(後方に発生する気流)の中に入る時があります。この状況は、気を付けなければなりません。ベルギーとドイツの共同研究では、人が出す飛沫の動きをアニメーションとして可視化させ、シュミレーションテストを行ないました。

時速14.4kmのシュミレーション14.4km/hで走った場合のシュミレーション
COVID-19 Social Distancing v2.0: During Walking, Running and Cycling: White Paper

このテストでは『くしゃみや咳では、飛沫を空中にまき散らすが、呼吸するだけの場合でも粒子を残す』としています。上記の画像で赤で示された大きな粒子は早く落ちますが、『ランニングで粒子の残る中を通った場合、粒子は衣服に付くことがある』と説明します。そのためランナーの真後ろの走行は極力避け、後方位置している場合は、斜め後方などに位置をずらして走行すると良いでしょう。

Belgian-Dutch Study: Why in times of COVID-19 you can not walk/run/bike close to each other.|medium.com
https://medium.com/@jurgenthoelen/belgian-dutch-study-why-in-times-of-covid-19-you-can-not-walk-run-bike-close-to-each-other-a5df19c77d08

URBAN PHYSICS, WIND ENGINEERING & SPORTS AERODYNAMIC
http://www.urbanphysics.net/Social%20Distancing%20v20_White_Paper.pdf

UA スポーツマスク フェザーウエイト

生地は薄くて通気性が良くこれまでと比べて40%の軽量化に成功しフィット感も向上しています。

ランニングと免疫力の関係性

免疫力を高める

走ることは、ウイルスに対抗するカラダの免疫力に、良きも悪きも影響を及ぼします。

ランナーズワールド誌に登場する公衆衛生に精通したラブス氏によれば『フルマラソンやハーフマラソン、追い込むようなトレーニングなどは、体内のグリコーゲンを消費し使い果たした後に、免疫系が通常に働かなくなります。そうしたカラダで、ウイルスに感染した人にさらされた場合、カラダの防御力は低下します。さらに、マラソンやハードな運動により引き起こされる肉体的・精神的ストレスにより、病気にかかる可能性が、わずかに増える可能性がある』としています。

ランナーズワールド誌でニーマン氏は『(新型コロナウィルスの)問題を乗り越えるまで、今すぐ長く激しいランニングを避けください。フィットネス向上よりも、無理しないで健康について心配ください。』と言及しています。

さらに、ラブス氏は『運動を完全に止める必要があるという意味ではありません。定期的に運動することは、免疫力を強くすることと密接な関係があります。ランニングを長期的に行うことで免疫システムに与える良い影響は、短期的な懸念をはるかに上回ります。』と付け加えています。

両名が言及するように、新型コロナウイルスが健康に影響を与えるスキを作らないために、免疫力が極端に落ちるような、負担の大きいトレーニングは避けたほうが無難です。適度な負荷のランニングについては、免疫力へのポジティブな面と運動不足解消の役割もあるため、続けていきたいところです。今後の状況次第では、ランニングするための外出が難しくなることもあり得るため、室内で出来る運動方法も考えておいた方が良いでしょう。

ランニングを続けていくために

走っていくランナーと菜の花

2021年8月の時点では、新型コロナウイルスの終息は見えず、感染拡大が続いています。ワクチン接種も進んでいますが、まだ予断の許されない状況が当面続くことが予想されます。

マラソン大会については、一部の大会は開催されるものの、中止や規模縮小などが続いています。そうした中で、オンラインを使ったマラソンイベントが行なわれたり、新しいカタチのランニングの楽しみ方が提案されてきています。

今後も適切に感染対策を行ない、健康状態に気を付けていく必要がありますが、ランニング後の手洗いや、十分な栄養や睡眠により免疫力を高めるなど、やれることを実践してコロナ禍にあってもランニングを楽しんでいきましょう。


【参考記事】

How to Run Safely Amid Coronavirus Concerns|RUNNER'S WORLD
https://www.runnersworld.com/news/a31439358/running-during-coronavirus/

What Runners Need to Know About Coronavirus|RUNNER'S WORLD
https://www.runnersworld.com/news/a30642790/what-is-coronavirus/

この記事には、次の人物・組織が登場しています。

  • デヴィッド・ニーマン氏:アパラチア州立大学 ヘルスプロフェッサー、ノースカロライナ・リサーチ・キャンパス ヒューマンパフォーマンスラボ ディレクター
  • ブライアン・ラブス氏:ネバダ大学ラスベガス校 公衆衛生学部助教授
  • CDC:アメリカ疾病予防管理センター