朝ランと夜ラン、走る時間で変わるランニングの効果と注意点

ランニングは朝派、夜派?

ランニングは24時間、いつでも走れるスポーツですが、ランナーの走る時間帯を大まかに朝走る“朝ラン派”と、夕方から夜に走る“夜ラン派”の2つに分かれます。

社会生活を送っていると、ランニングをする時間が限られるため、その2つの時間に集中してしまうという要因もありますが、果たして朝ランと、夜ランのどちらがランニングに適している時間帯なのでしょうか?

【目次】

ランナーは朝派と夜派に2分される

雑誌「ランナーズ」を発行しているアールピーズが行った2016年度の「ランナー世論調査」では、朝の時間帯に走っているランナーが約4割に上り、多くを占めていました。しかし、続く夜と夕方の時間帯の2つを足すと約6割のランナーが、日没の頃から走り出していることがわかります。

アールピーズ 2016年度アンケート Q20 走る時間帯ランナー世論調査2016|Q20 走る時間帯(複数回答可の設問)
アールビーズ

また、前年度の2015年度の「ランナー世論調査」では、1時間ごとに分けた調査を実施しており、朝の6時台に走っているランナーが一番多く、次いで19時台、20時台と続きます。

アールピーズ 2015年度アンケート Q15 1日のうちで走る時間帯は?ランナー世論調査2015|Q15 1日のうちで走る時間帯は?
アールビーズ

朝走るランナーは、出勤や通学時間の前に時間を取って走り、夕方から夜にかけて走るランナーは、仕事が終わってからや帰宅後に走りに行っていると考えられます。

最近は、朝の時間を活用する「朝活」をする人が増えてきていることもあり、早朝の時間を積極的に使っていこうという傾向があります。また、朝起きた時のエネルギーが欠乏している時間にランニングやウォーキングをすることが、脂肪燃焼に効果的という話が広まったこともあり、朝ランを生活サイクルに取り入れている人もいるようです。

カラダの生体のリズムを基準に考える

私たちは、地球の自転による1日の変化と共に生活していくために、約24時間周期の生体リズム(体内時計)をもっています。それは、起きている時間と就寝の時間というわかりやすいものから、体温や自律神経、ホルモンバランスなどあまり自覚できないものまで、様々なカラダの働きにまでにいたります。

カラダのもつ体温は、寝ている時間に低くなり、起床して活動を開始すると徐々に上昇し高くなっていきます。夕方から夜の早い時間にかけて一番高い体温になり、その後は夜が遅くなるにつれて少しずつ低くなります。そして、就寝を迎え睡眠に入ると急激に下がり、午前4頃に一番低くになります。

TERUMO テルモ体温研究所 1日の体温リズム(例)テルモ体温研究所|TERUMO

1日の生体リズムを整える役割をしている自律神経を基準にすると、リラックス時に働く副交感神経が睡眠時に優位になり、カラダが活動する時に働く交感神経は日中に活発になります。

このようなカラダのリズムを考慮してランニングする時間に当てはめると、体温が高く、交感神経やエネルギーの代謝機能、心肺機能の働きが活発になっている16時~20時あたりの時間帯が、良いパフォーマンスを出すのに適した時間帯と言えます。

朝のランニングについて

朝走る人は、出勤前や日中の仕事の前にランニングに行くという人が多くいます。朝の早い時間にランニングをすることは、脳を活性化したり、一日のエネルギー代謝量を上げるなどのメリットがあります。朝活として、ランニングを取り入れることは、カラダを目覚めさせてリズムを整え、1日を活発に過ごすベースになります。

その反面、起きたばかりのカラダは激しい運動をする準備ができていないため、怪我や重大な疾患を伴ってしまうリスクが高くなる時間帯でもあります。

朝ランのコンディショニング

朝起きて間もなくは、まだ体温が低く、カラダは慣らし運転の状態にあります。筋肉や関節はほぐれておらず、血圧は十分に上がっていません。そのため、目覚めてすぐにランニングに出かけることは、カラダにかかる負担が大きく、怪我などのリスクも高いので避けるようにします。

起床してからランニングに出かけるまでには、30分程度の時間をとり、水分と栄養の補給をしてコンディションを整えます。睡眠中のカラダからは、汗と呼吸で500ml以上の水分が失われていきます。そのため、起床時は体内の水分が不足し脱水しているため、十分な水分の補給が必要です。一気に飲んで腹痛を起こさないようコップ1~2杯程度を、ゆっくり補給します。この時に栄養補給もかねて、スポーツドリンクやエナジーゼリーなどを摂取すると良いでしょう。

さらに、体温を上げ、動けるカラダにしていくため、ウォーミングアップを行います。ここでは動的ストレッチを行い、徐々にカラダを動かしていくようにします。関節や筋肉を十分に温めランニングに備えます。

朝ランの注意点

朝にランニングをすることは健康的にも見えますが、起きて間もないカラダは体温が低く、睡眠中に水分を失っているため、血液の粘度が高くドロドロな状態です。午前中は脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすい時間帯でもあり、激しい運動はそのリスクを高める可能性があります。

そのため、朝のランニングはパフォーマンス向上を目的とした高負荷のトレーニングではなく、1日のコンディションを整えることを目的にして、ゆっくりしたペースで無理のない距離で行います。思いがけず体調が悪くなってしまった場合は、すぐに中止して休憩をとり体調悪化のリスクを回避するようにします。

また、午前中は生体リズムで排泄サイクルにあたり、ランニング中に突然の腹痛に襲われることも起こりえます。お腹が弱いと自覚のある人は、トイレが近くにある場所で走った方が無難かもしれません。

夕方から夜のランニングについて

夕方は体温が高い状態にあるため、筋肉や健の柔軟性が上がり、関節を動かせる範囲が広くなります。交感神経の働きでエネルギーの代謝機能や心肺機能の働きも活発になるため、運動する時のパフォーマンスが一番良くなります。夕方から早晩の16時から20時あたりが、ランニングをするのには適している時間になります。

夜ランは、一日の疲れをリフレッシュして良い睡眠をもたらしてくれます。しかし、20時を過ぎたあたりからは、カラダの体温は落ちてきて徐々に睡眠に向かっていくため、夜遅くや深夜のランニングは、睡眠の妨げたり、睡眠不足の原因になる可能性があります。

夜ランのコンディショニング

カラダが一番動かしやすい時間帯なので、しっかり準備運動をやってランニングに出かければ、特に注意することはありません。夕食前でエネルギーが足りないようであれば、走る2時間くらい前に、小腹を満たす程度のおやつを取っておくと良いでしょう。

走り終わった後は、ゆっくりとクールダウンとストレッチをして、ランニングと一日の疲れを取るようにします。

夜ランの注意点

夜ランは周囲が暗くなっていくため、車や防犯に注意が必要です。ウェアは明るめのものを選び、再帰反射素材のものやランナー用のライトを身につけて、暗くても目立つようにします。特に夕暮れ時の16時~18時の間は事故率が最も高い時間帯で、徐々に暗くなっていくためライトをつけていない車の運転手が、ランナーを見落とす可能性があります。車がよけてくれたり、安全が当たり前と思わず、自分自身で周りに注意を払うことが必要です。

季節により走りやすさは変化する

春シーズン

花粉の多い春シーズン。花粉症をもつランナーは、花粉があまり飛んでいない早朝を走ることをおススメします。朝、目覚めたばかりは花粉の症状の出やすい副交感神経優位のリラックス状態ですが、走ることで交感神経を優位にすることができるため、症状が軽減されやすくなります。

夏シーズン

暑い夏シーズンでおススメする時間帯は、ひんやりした空気の残る早朝です。真夏となると30度を軽く超える日が多いので、太陽が出ている時間には、日焼けや脱水などのリスクが上がります。また、夕方以降になっても気温があまり下がらないこともあるので、気温が低く紫外線量も少ない、早朝がランニングには適した時間帯と言えます。

冬シーズン

冬シーズンは、夜のランニングがおススメです。朝方は冷え込みが厳しく、ウォーミングアップが大変なことに加え、寒さで縮こまった筋肉や関節により怪我のリスクが増えます。夕方や夜であっても寒いことには変わりありませんが、カラダがよく動いて、まだ空気が冷え切っていない夕方から夜の早い時間は、ランニングには適していると言えます。