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マスクを着用してのランニングが、ランナーにもたらす影響とは?

ソーシャルディスタンス

新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大の影響を受け、日本で緊急事態宣言が出され外出の自粛が求められる中、普段からランニングをしていた人以外にも、健康を維持するためにランニングを行う人が増えてきています。

走っている時は、歩行の時よりも呼吸が荒くなるため、通常2mといわれるソーシャルディスタンスがさらに広くなる傾向があります。移動速度の速さにより、後方にピッタリとついた"スリップストリーム"の状態であると、前を走るランナーの呼吸飛沫が衣服等に付着する可能性があるため、後方の走者は、10メートル程度の距離を開ける必要があるという報告もあります。

ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授は、自身の新型コロナウイルスの情報発信するサイト上で『マスク、もしくはバフ、ネックゲイター等でジョギングエチケットを心がけましょう。』と呼びかけたことも、マスクをランニングする時のエチケットとする認識を高めています。

マスク着用により、人と人との距離を保つことの必要性がなくなるわけではありませんが、こうした状況下で、口や鼻をマスクなどの布製品で覆ってランニングするとが、選択肢の一つになっています。

ランナーにとって、マスクはうっとしいもの

マスクを外した女性

ランニングでカラダを動かすためには、十分な酸素をカラダに行き渡らせることが、重要な要素の1つになります。しかしマスクの着用は呼吸の妨げになるため、取り込める空気の量が少なくなり、パフォーマンスが落ちてしまいます。また、マスクの類は時間がたつと呼気の水分で湿り気を帯びるため、不快を感じるようになります。また、走行中の振動でずり落ちてくることも、好ましいものではありません。

ランナーにとっては、マスクやバフ・ネックゲイターをして走ることはマイナスな点が多いですが、コロナウイルス流行の中で、人の往来がある場所で走る時には、周囲への配慮として、装着した方がいい状況になっています。

マスクがパフォーマンスに与える影響

マスクをしてランニングをすることについて、アメリカでメジャーなランニング雑誌「RUNNER'S WORLD」では、『How Does Running With a Mask Impact Your Performance?(マスクを付けてのランニングはパフォーマンスにどのような影響がありますか?)』という題名の記事を、2020年5月5日に掲載しました。マスクを付けた状態で走ることについて「低酸素トレーニングとしてカウントできるか?」「どうしたら、より快適に走れますか?」という観点で書かれています。

マスク装着のランニングは、低酸素トレーニングの代用となるのか?

高山でのランニング

走っている時に息苦しいということから『マスク装着のランニングは、低酸素トレーニングの代用となるのか?』という問いへの答えは「いいえ」です。呼吸をするのが苦しくても、低酸素の高地トレーニングと同じ効果は得られません。

例えば低酸素ルームで行われるトレーニングの場合、低酸素室の酸素濃度を意図的にコントロールし制限できるように設計されています。そのため、利用者は時間の時間の経過とともに低酸素状態に順応し、カラダの酸素効率が向上されます。

残念ながら、マスクやバフなどのフェイスマスクの着用では、このことに当てはまりません。アメリカのパーソナルトレーナー兼トレーニングプログラムディレクターのライマン氏は『布製マスク、バフ、またはバンダナを着用している場合、ランナーが呼吸している空気の酸素濃度を変更するのではなく、単により少ない量の空気で呼吸します。肺に入る空気は、いつもと同じ酸素濃度です。』と説明します。

しかし、メリットがないわけではありません。ライマン氏は『マスクやフェイスガードを着用すると、肺への空気の流れが制限されます。これは、肺が慣れているのと同じ量の空気を得るために、肺がより強く働く必要があることを意味します。時間が経つにつれて、これは肺と横隔膜を強化する可能性があります。』と指摘します。

マスクをして走ると、始めの数回のパフォーマンスは、おそらく低下することになりますが、回数を重ねればカラダは順応してきます。もし数週間から数か月の間、マスクなどを着用してランニングを行うならば、空気を取り込む機能が改善され、マスクを外した時のパフォーマンスに良い影響を与える可能性があります。

マスク装着のランを、快適にするには?

マスク

マスクなどの布製品で鼻と口で覆いランニングをすると、布素材が汗や呼気の水蒸気を吸って、次第に湿り気を帯びて不快を感じることになります。

ランナーズワールドでは『鼻呼吸』を試してみることを、提案しています。鼻呼吸を取り入れるメリットとして『鼻からの呼気は、口呼吸よりも水滴が少なく、マスクの乾燥を維持するのに役立ちます。鼻呼吸のもう1つの利点は、アレルゲンや異物が肺に入る前に、空気から取り除かれるように設計された体の鼻腔を利用できることです。』と、説明しています。

鼻呼吸の時は鼻孔で息をしますが、口に比べ小さいく、1回の呼吸では取り入れられる空気には限度があります。そのため、運動強度が軽いジョギングやL.S.D.(ロングスローディスタンス)などのように、軽い負荷の運動に限定されるでしょう。また、鼻の粘膜が弱かったり、敏感な人には取り入れずらいところもあります。

マスク着用が熱射病の要因になる

2020年5月10日(日)のNHKのニュースサイトに『マスクつけてジョギング 注意点を専門家が指摘 新型コロナ』という記事が掲載されました。

ランニングは、気温が高い季節に行うと、熱中症になるリスクがあるスポーツです。加えて、マスクの着用で呼気による換気が難しくなり、呼吸の回数の増加するため、水分の放出量が増えてしまいます。また、ネックゲイターを使用している場合は、首周りからの体温の放出がほぼできなくなるため、体内に熱が籠りやすい状況になります。

そのため、マスクを付けてのランニングをする時は、負荷の少ないスピードで行い、水分を定期的に摂るようにします。もし、カラダの不調を感じるのであれば、走るのを止めて休息するなど、早めにリスクを避ける行動を心がけることが必要です。

また、周囲に人がいない場所ではマスクを着用する必要がないため、人がいない場所や時間帯を選んでランニングすることも、視野に入れていきたいところです。

日焼けムラにも注意

強い太陽光のイメージ

紫外線の多い季節、ランニングを日中に行うと、当然のことながら肌が日焼けを起こします。この時に対策をしないでマスクをしていると、マスクのラインで日焼けムラが起きてしまうことになります。

対策としては、日が当たらない時間に走れば、日焼けの心配がなくなります。また、公園やトレイルなどの木陰が多い所でランニングを行うのも効果があります。もし、日光に当たることが避けられないのであれば、スポーツ向けの効果が高い日焼け止めをしっかり塗り、帽子を被るなど日よけの対策をすると良いでしょう。

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