スポーツコミュニティ「STRAVA」のデータで見る、2021年の世界と日本のランニング事情

世界最大のスポーツコミュニティの「STRAVA(以下 ストラバ)」は、2021年の世界と日本におけるスポーツの実施状況を、イヤーレポートとして公開しました。ストラバでは、9,500万人ものアスリート利用者のデータを分析して、1年間のスポーツ実施状況を分析しています。

データはストラバの 2020年10月1日~2021年9月30日の公開アクティビティの総計に基づいています。ストラバでは利用者を、アスリートと呼称しています。

2021年のストラバの利用状況

2021年 ストラバの利用状況【ストラバ 総アクティビティ数】

ストラバは、世界で 9,500万人ものアスリートが利用しているスマートフォン用のアプリケーションです。直近の 12カ月では、18億件のアクティビティの投稿がアップロードされました。昨シーズン(2019年10月~2020年9月)と比べて、ユーザー数が 2,200万人の増加し、アクティビティの件数は 38%増加をしており、世界のアスリートたちが盛んにスポーツに取り組んでいたことが伺えます。

スポーツタイプ別の伸び率

スポーツタイプ別の伸び率のグラフ【2021 VS 2020:アクティビティ数の増加】

アクティビティのアップロード数の増加は、一部のスポーツだけでなく多くのスポーツに見られました。特にウォーキングとハイキングは、ヨガやインドアトレーニングと並んで、最も堅調な伸びを示しています。

一方、2021年はリゾート地の全面的な閉鎖や制限により、アルペンス キーとスノーボードが昨シーズンに比べて 37%減少しました。こうした背景がバックカントリースキーやノルディックスキーの激増につながったと考えられます。

ランニングに関してのデータ

ランニングに関してのデータ【ストラバ アクティビティの総合データ】

2021年の世界でランニングで走行されたデータの合計距離は 38億キロメートルで、1周約 4万キロの地球を 9万5000周した距離になります。1回のアクティビティの平均走行距離は 6.2キロ(男性 6.5キロ/女性 5.5キロ)で、平均時間は 38分48秒(男性 39分30秒/女性 37分42秒)です。

日本に限定して見ると合計距離は 5,750万キロで、地球を 1,437周と半分を走ったことになります。1回のアクティビティの平均走行距離は 6.8キロ(男性 7.0キロ/女性 6.1キロ)で、平均時間は 40分41秒(男性 40分53秒/女性 40分54秒)です。日本が世界平均よりも、1回の走行距離・時間ともに長い傾向があります。

ランナーのモチベーションについて

ランニングに関してのデータ【2021 VS 2020:自己ベストを記録した新規アスリートの増加】

コロナ禍にあった 2020年は、大幅にランナーが増加しました。そうした中で、走り始めたランナーたちは、まだ新鮮な気持ちで走っており、2021年には多くのランナーが今年の自己ベストの更新をしています。上記のグラフは 2020年にストラバに参加し、該当距離を2回以上走ったことがあるアスリートに関してのもので、初回の自己ベストは含みません。

オンラインコミュティの繁栄

オンラインコミュティの繁栄【年間チャレンジ参加者数(単位:億)】

ストラバ内でのコミュニティや繋がりを作れる “クラブ” の利用者は大幅に増えて、37%の増加を見せました。また、オンライン大会や課題に挑戦する “チャレンジ” の参加者は 2倍になり、多くのアスリートがなんらかの目標を立てていることが伺えます。

またアクティビティの際に、撮影した写真とともに投稿するアスリートが増えました。コロナ禍にあり仲間たちと目の前の景色を一緒に見られない時に、写真に収めて共有が図られています。アスリートたちが写真撮影に精を出したことで、2021年は写真付きで投稿されたアクティビティの数が 58%増加しました

世界中で飛びかったKudos

世界中で飛びかったKudos【国境を越えて飛びかったKUDOS】

SNSで見られる “いいね” の機能を、ストラバでは “Kudos(称賛)” で行ないます。世界中で使われるストラバでは、国境を越えて多くの “Kudos” が贈られています。仲間のサイクリストに手を振ったり、通り過ぎるランナーに軽く会釈したりと、励ましの表現は世界中のアスリートに通じるものです。“Kudos” というシンプルなジェスチャーだけでも、国境や海を越えて届くでしょう。

気候変動に立ち向かう

世界中で飛びかったKudos【異常気象とアスリートの行動の変化】

世界を襲ったのは、パンデミックだけではありません。アスリートたちの前に立ちはだかったのは、猛暑や酷寒、嵐、山火事による大気汚染などの、極端な気象現象でした。異常気象による屋内アクティビティへの影響予測は難しく、屋外アクティビティと同様に減少する場合もあれば、逆に激増することもあります。マドリードでの大雪や長野での洪水の際には、屋内アクティビティはそれぞれ 55%と 56%増加しました。